事故物件で告知義務が必要な場合は?期間や違反した場合についても解説
2023年4月10日
不動産の売買、もしくは賃貸契約の現場において、事故物件に遭遇するケースが多々あります。
事故物件については、取引する相手に対して告知義務が発生しますが、告知義務が必要な事案はどのようなもので、告知義務が継続する期間はどれくらいなのか、ご存知でしょうか。
事故物件の取り扱いについては、不動産の契約後のトラブルを防ぐためにガイドラインが設けられており、取引相手への告知に関する基準が定められました。
今回の記事では、そのガイドラインの内容に沿って、告知義務が必要なケースとそうでないケースの違い、期間や違反してしまった場合について詳しく解説します。
告知義務に関するガイドラインが策定された背景
国土交通省は、2021年10月に「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を発表しました。
このガイドラインが策定された背景には、不動産取引の現場で、事故物件にまつわるさまざまなトラブルが発生していたことがあげられます。
過去に自殺などで人が亡くなった、あるいは事故があった物件において、宅地建物取引業者が調査や告知する際の一律の基準がなかったことが、トラブルの原因となっていました。
たとえば、ガイドラインが策定されるまでは、人の死があった不動産において、宅地建物取引業者による買主、借主への告知をすべきかどうか、またはいつまで告知するべきなのか、などは業者によって対応が分かれていました。
そのため、後になって事実を知った買主が損害賠償を請求したり、賃貸物件においては貸主が孤独死を恐れて高齢者の入居を拒む事案が発生したりするなど、不動産のスムーズな取引や流通の妨げとなっていた部分があります。
そこで、ガイドラインには、死にまつわる事故や事件があったとされる居住用不動産物件の取引において、その事実を宅地建物取引業者が買主、もしくは借主に伝えるべきかどうかの判断基準が示されるようになったのです。
告知義務の対象となる事案
事故物件について、買主や借主へ告知義務が発生する対象となる事案は、大きく4つに分類されます。
具体的には、
・殺人、自殺、事故による死亡
・特殊清掃や大規模リフォームなどが行われた場合
・買主、借主から事案の有無を問われた場合
・社会的影響の大きさから買主、借主に伝えておくべきと判断した場合
です。
それぞれ詳しく解説します。
殺人・自殺・事故による死亡
ガイドラインによると「殺人、自殺、事故による死亡」については、告知義務が発生するとされています。
該当の物件において「殺人、自殺、事故による死亡」があったかどうかが、買主・借主が物件を契約するかどうかの判断に非常に大きな影響を及ぼす可能性があるためです。
また、ガイドラインでは、仮に死因が不明な事案が発生したとしても、買主・借主側が契約の判断に影響を及ぼす可能性があると考えられる場合は、原則として告知義務が科せられています。
告知期間は、賃貸物件においては、事案が発生してから「概ね3年間」が告知期間であると、ガイドラインで明示されています。言い換えると、事案の発生から概ね3年さえ経過すれば、宅建業法上の告知義務はなくなるといえます。
一方で、売買物件に関しては、告知義務の期限については設定されていません。賃貸よりもトラブルになってしまった際に発生する損害額が非常に大きくなると考えられているからです。
つまり、3年以上前に発生した事案であったとしても告知義務は残り続け、取引相手に対して事前に告知しなければいけません。
特殊清掃や大規模リフォームなどが行われた場合
ガイドラインでは、物件に対して特殊清掃や大規模リフォームなどが行われた場合も買主、もしくは借主に告知義務があるとされています。
そもそも、特殊清掃とは、通常の清掃では汚れを落とすのが難しい部屋を掃除することを指します。主には、自殺や事件があった部屋、孤独死があった部屋、部屋にゴミが溜まった部屋が対象となります。
血液や体液が付着した部屋の汚れは、通常の清掃では落とすことが難しいため、特殊清掃が必要となるのです。そのため、自殺や事件、孤独死が起きた部屋については、基本的に特殊清掃や大規模リフォームが行われます。
つまり、特殊清掃や大規模リフォームがあった物件を取引する際には、相手側の判断に重大な影響を与えると考えられています。
以上のことから、特殊清掃や大規模リフォームなどが行われた場合でも告知義務が発生するのです。
買主・借主から事案の有無を問われた場合
物件の買主、もしくは借主から事案の有無を確認されたケースでも告知義務が発生するとされています。
ガイドラインによると、このケースの告知義務は、人の死に関する事案の発覚から経過した期間や死因に関わらず発生するとしています。
なぜなら、取引する相手方側が、不動産の購入あるいは賃貸契約を締結する判断に重要な影響を及ぼすと考えられるためであり、宅地建物取引業者側は、調査を通じて取得した情報について告知しなければいけません。
また同時に、ガイドラインには調査先の売主・貸主・管理業者から事案について原因不明であると回答された、あるいは無回答だった場合には、その旨を買主、もしくは借主に告げれば問題ないことも規定されています。
つまり、物件の買主、もしくは借主から事案の有無を確認されたケースでは、所有している情報について正確に告知する義務があるということです。
もちろん、事案に関わった人たちのプライバシーに関しての告知はしてはいけません。この点については後ほど詳しく解説します。
社会的影響の大きさから買主・借主に伝えておくべきと判断した場合
最後は、社会的影響の大きさの観点からです。
ガイドラインでは、事案について社会的影響の大きさから買主、借主に伝えておくべきと判断される場合も告知義務があるとしています。
社会的影響の大きな事案のあった物件は、買主、借主側の住み心地のよさを欠く心理的な瑕疵が大きく、判断に重要な影響を及ぼすとされていることが、その理由です。
ただし、こちらも先ほどの事案の有無を問われたケースと同様に、事案に関わる人たちのプライバシーに関わることは触れていけませんので、注意するようにしましょう。
告知義務の対象外となる事案
続いて、事案が発生したとしても告知義務の対象外となる事案について解説します。
ガイドラインによると、
・日常生活の中で生じた不慮の事故死
・老衰や持病など、病気による自然死
・隣接住戸や通常使用しない集合住宅の共用部での死亡
に該当する場合は、告知義務の対象からは外れます。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
日常生活の中で生じた不慮の事故死
日常生活の中での不慮の事故死が起こった不動産に関しては、ガイドラインによると原則として告知する義務がないと示されています。
その理由は、不慮の事故死のような「死」が起こることは、可能性として当然ありえることであるため、買主・借主の判断に影響を及ぼす可能性は低いと考えられるためです。
また、事案が発覚してからの経過期間の定めもありません。
ただし、万が一不慮の事故により死亡した方の発見が遅れてしまった場合は例外となることがあります。たとえば、発見が遅れてしまったことで室内外に臭いや、害虫などが発生したため、特殊清掃等が行われた場合です。
その場合は、買主・借主が契約を締結するか否かの判断に重要な影響を及ぼすとされ、告知義務が生じますので、注意しましょう。
老衰や持病など、病気による自然死
老衰や持病などによる自然死については、前述した不慮の事故死と同様の扱いとなります。
不慮の事故死と同じく、老衰や持病による死亡は起こりえる可能性のある「死」であると考えられているのが、その理由です。
隣接住戸や通常使用しない集合住宅の共用部での死亡
ガイドラインに定められている事故物件の告知義務は、専有部分や室内で発生した事案が想定されています。
そのため、隣の土地や建物前の道路といった、外部で発生した事案については告知義務の対象外となるのです。
アパートなどの集合住宅でも、ベランダや共同スペースである玄関、廊下、階段、エレベーターなど、通常使用していない共用部分での事案については、告知義務は発生しませんので認識しておきましょう。
告知義務の期間について
ここまでで告知義務が必要になるケースと、そうでないケースを整理しました。告知義務がある物件について取引する際には、一体いつまで告知し続ける必要があるのでしょうか。
実は同じ事故物件でも、賃貸か売買の物件なのかどうかによって異なります。
それぞれについて解説します。
賃貸契約の場合は事案発生から概ね3年
ガイドラインによると、賃貸の場合で「概ね3年間」と言われています。
これは、死因が病気もしくは老衰などによる自然死であったとしても遺体の発見が遅れてしまい特殊清掃などが行われた場合、事故死と自然死の区別がつかない場合でも告知義務が発生するため注意が必要です。
また、事故物件の外で事案が発生したケースに関しては、告知義務の対象から外れます。
売買契約の場合は期間に関係なく告知義務あり
一方で、売買契約の場合には、いかなる内容であっても告知義務がなくなることはありません。賃貸物件に比べ売買契約の方が契約金が大きいことなど、トラブル時の経済的影響が大きいと考えられるためです。
そもそもガイドラインが、不動産契約に関するトラブルを未然に防ぐことを目的に策定されたものであるため、賃貸よりも売買の方が期間を設けられていないといえます。
1組でも入居すれば告知義務はなくなるのか
よく誤解されがちなことではありますが、1組でも入居すれば告知義務がなくなるということはありません。事案の内容と事案が発生してからの期間も影響してくるため、ケースバイケースといえます。
そもそも、先ほど申し上げた通り、賃貸物件の場合なら概ね3年間、売買物件の場合なら無期限と、告知義務の期間が定められていることがその理由です。
そのため、仮に事案が発生した賃貸物件があった場合、告知義務期間の3年間の間に複数人が入居したとしたら、全ての人に告知しなければいけません。
ただし、3年が経過した賃貸物件であったとしても、全国的に有名になったような影響力の大きな事案であれば入居者の心理的瑕疵を考えると告知する必要があるでしょう。
つまり「どういった事案が起こった部屋」なのか、「事案が発生してからどのくらいの時間が経過しているか」が大事なのです。
そういった考え方から「1組でも入居すれば告知義務がなくなる」ということではなく、あくまでケースバイケースということになります。
事故物件の告示義務がある瑕疵の種類
不動産の賃貸、売買においては「瑕疵」という言葉が頻出します。普段の暮らしの中では聞き慣れない言葉かもしれませんが、とても重要な言葉ですので、覚えておきましょう。
そもそも「瑕疵」とは、土地や物件に何らかの不具合がある状態のことを指します。
売買された土地や物件に「瑕疵」が見つかった場合、買主は売主に対して補修や賠償請求ができる権利が法律で定められています。実際の補償内容や責任期間は契約内容によるため一概にはいえませんが、不動産にまつわる契約の際には必ず出てくる言葉といえます。
ここで改めて、事故物件における告示義務のある瑕疵の種類についてまとめておきましょう。
具体的には、「心理的瑕疵」「物理的瑕疵」「環境的瑕疵」「法律的瑕疵」の4つです。
それぞれについて見ていきます。
心理的瑕疵
過去に死亡事故や自殺が発生している物件に住むとなると、おそらくほとんどの人が嫌悪感を抱くでしょう。このような心理的に抵抗感が生まれ、生活に影響がでることを心理的瑕疵といいます。
該当するのは、この記事でも触れているように事故物件とされる自殺、他殺などの事件や事故死、あるいは孤独死などが発生した建物です。
そのほかでは、近くに迷惑施設が立地していることです。迷惑施設とは主に指定暴力団の事務所、あるいは暴力団を構成する組員が居住していることなどがあげられます。
また、自然死であったとしても、発見までに時間が経過したことにより、遺体の状態が悪く特殊清掃が発生してしまったケースでは告知義務が発生するため、こちらも心理的瑕疵に該当するといえるでしょう。
物理的瑕疵
物理的瑕疵とは、不動産における物理的な損壊や欠陥のことで、生活に支障があるレベルのものを指します。
物理的欠陥があった場合、いざ住んでみるとすぐに修繕が必要になってしまう可能性も十分にありえます。賃貸物件であれば、原則として賃貸人が修繕義務を負担するよう定められています。
しかし、時おり契約書の文面に「特約」として、修繕義務を負わなくて済むような契約内容が記載されていることがありますので、物件を借りる、または購入する方はサイン前の確認は必須といえるでしょう。
具体的に、物理的瑕疵に該当するケースを見てみます。
まず代表的なところでいうと、雨漏りしている、上のフロアから水漏れしている、壁にひび割れがある、給排水管が詰まっている、もしくは故障している、といったケースがあげられます。
次にシロアリ被害や、建材にアスベストが使用されていること。ほかには、耐震強度が不足している、建物に構造上の欠陥がある、などが該当します。
上記以外でも、該当数は少ないかもしれませんが、たとえば水害などの自然災害による床下浸水や構造物の破損なども、物理的瑕疵物件としてみなされる、といえます。
環境的瑕疵
環境的瑕疵とは、取引対象となる不動産や土地そのものには問題がないものの、対象の不動産などの近隣にある建物からの騒音や振動、あるいは異臭、日照や眺望障害などに問題があることを指します。
ほかには、近隣にごみ焼却場や廃棄物処理施設、下水処理場、パチンコのような遊戯施設などの施設があることにより環境上の問題となりうるような場合も含まれます。
より具体的にいえば、近隣にある工場の作業音が響くことや、昨今問題にもなっているゴミ屋敷からの悪臭、近所を走る新幹線の騒音と振動、といったことも環境的瑕疵の対象になるといいます。
また、保育園や学校などに関しても、人によっては騒音が気になるということも考えられます。つまり、生活スタイルによっては環境的瑕疵になりうる建物といえます。
法律的瑕疵
法律的瑕疵とは、その名の通り法的に問題のある建物のことを指します。建築基準法や都市計画法などの法律により、不動産の使用や建築が制限されているパターンです。
容積率や建ぺい率、防火扉、避難はしごなどが適切に設置されているかなどがチェックのポイントといわれています。
具体的には、建物の高さが制限されているエリアのため3階建てにできない、建築不可物件のため増改築ができない、昔からの下町や法施策の前に建てられた中古物件などでも、法律的瑕疵に該当する場合が多く見られます。
以上、紹介したように不動産には4つの瑕疵があることがわかりました。
また、上記いずれかに該当する瑕疵がある場合、売主、もしくは貸主は取引する相手側へ必ず告知する必要があります。
そして、紹介した4つの瑕疵の中で、とくに注意しなければならないのが「心理的瑕疵」といわれています。心理的な瑕疵は目には見えないうえ、人によって気になる・気にならないの基準に差があることからトラブルになりやすいためです。
事故物件の告知義務に違反した場合
ここまで、告知義務の対象や告知対象となる瑕疵について触れてきました。
では万が一、告知義務に違反してしまった場合はどのようなペナルティが発生するのでしょうか。
もしも告知義務を怠ってしまうと、売却後に売主は買主から物件の瑕疵に対して、以下の4つのような請求を受ける可能性があります。
具体的には、補償請求、減額請求、損害賠償請求、契約解除です。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
補償請求
補償請求とは、主に物理的瑕疵があった際に該当しますが、物件などに不具合があったとき損害を補修するよう買主から請求されることを指します。
生活に支障があるレベルの損壊や欠陥があれば、売主は買主から補修のための費用を請求されます。
減額請求
減額請求とは、売主が買主からの補修費請求に応じない、あるいはそもそも修繕できないレベルの不具合がある、または物理的瑕疵以外の瑕疵がある、などの際には物件購入費の減額を請求される可能性が出てきます。
つまり、買主側からすると、瑕疵のことを事前に知っていたら契約した価格での購入はしなかった、ということです。
損害賠償請求
損害賠償請求とは、告知義務違反が発生した場合、買主が不動産の売買契約のために負担したあらゆる費用について請求することです。
具体的には、契約書の印紙代、登記費用、引越しの費用などがあげられます。
契約解除
契約解除とは、その名の通りで不動産売買に関する契約を解除し、白紙に戻すことを指します。
すでに説明した補修請求や減額請求に売主側が応じないときには、買主側から売買に関する契約を解除できる可能性があります。
ほかにも、心理的瑕疵のある物件で心理的な苦痛を受けたとなった際には、買主側から慰謝料を請求されるケースもあるといいます。
また、この告知義務違反は、不動産の売主だけに該当するわけではありません。不動産を仲介した不動産会社がいるのであれば、その仲介不動産会社にも責任が問われますので、注意しましょう。
そのため、告知義務に違反してしまうと買主からの請求や契約解除だけではなく、不動産会社との間でも損害賠償を請求される可能性があるということです。
事故物件における告知すべき内容
事故物件においては、告知すべき内容についてもあらかじめ把握しておかなければいけません。
宅地建物取引業者は、あくまでも業務上知り得たものについて、告知する義務があるということを理解しておきましょう。
具体的に告知すべき内容は4つです。
「発生時期や発生場所」「死因」「特殊清掃の有無」「情報が開示されなかった場合の真実」であり、以下でそれぞれについて解説します。
発生時期や発生場所
事故、あるいは事件がいつ起こったのか、発生時期を明確にして伝えるようにしましょう。また、事故や事件が起こった場所についても、きちんと伝える必要があります。
また、特殊清掃や大規模リフォームが行われたことで、告知に該当するケースでは、特殊清掃がいつ行われたのか、どこを清掃したのかについても正確に伝える必要があります。
死因
事案について、病気が原因で亡くなったのか、自殺だったのか、もしくは事件性があったのかなど、死因についても伝えなければいけません。
前述したとおり、日常生活の中での不慮の事故死、老衰や持病などによる自然死が原因だった場合については、告知する必要がありません。
特殊清掃の有無
物件において特殊清掃が行われたかどうかも明確にするようにしましょう。
なぜなら、発生した事案で特殊清掃が入るほどだったのかどうか、を明記しなければいけないからです。
また、特殊清掃が行われた場合には、いつ清掃が行われたのか、どこを清掃したのかなどに関する情報についても取引相手に伝えるようにしましょう。
情報が開示されなかった場合の事実
万が一、情報をもつ不動産オーナーや、管理会社などから情報開示を拒否されるようなことがあれば、正直にその旨を告知するようにしましょう。
冒頭でもお伝えしたとおり、あくまでも宅地建物取引業者は、業務上知り得たものについて、告知する義務があるためです。
事故物件として告知する際に押さえておくべきポイント
ここまで事故物件について細かく解説してきました。
実際に告知する際に、押さえておくべきポイント、注意点についても確認しておきましょう。
具体的なポイントとしては、「告知は口頭だけでなく書面でも行う」「遺族や故人のプライバシーに対して十分配慮する」「買主・借主が納得した取引ができるようにする」の3つです。
上記にあげた項目は、いずれも契約後のトラブルを防止するために必要なことです。これらの注意点を踏まえたうえで告知するようにしましょう。
告知は口頭だけでなく書面でも行う
告知する際には口頭だけでなく、書面でも行うことが望ましいといえます。
書面での告知を必要とする理由は、契約後に当事者間同士で、事案について「言った」「言わない」の水掛論になることを防止する意味合いからです。
そのため、契約時に告知書面へ押印し、当事者間双方の間で内容を確認できたことを記録として残しておくことがベターといえます。
記録させ残しておけば、契約後に何かトラブルがあったとしても、安心できるのではないでしょうか。少なくとも「聞いていなかった」「伝えていない」というような事態にはならないはずです。
遺族や故人のプライバシーに対して十分配慮する
告知する際には、事案の関係者(遺族や故人)のプライバシーへの配慮は最大限に行うようにしましょう。
なかには野次馬的に気になるケースも出てくるかもしれませんが、絶対に故人や遺族の名前、年齢、住所、勤務先などの個人情報、プライバシーに関する事柄については知っている情報があったとしても、伝えることは避けなければいけません。
万が一、事案の関係者についての個人情報が漏れてしまえば、また別の問題へ発展してしまいかねません。
とくに、社会的影響の大きかった事案であればあるほど、そのリスクは増大するといえますので、注意しましょう。
買主・借主が納得した取引ができるようにする
口頭だけではなく、書面でも事案について伝えるようにする。関係者のプライバシーに配慮して伝えるようにする。
これらは、契約後のトラブルを防ぐ意味合いもありますが、同時に不動産の買主・借主が納得した取引ができるようにするためでもあります。
どのような不動産取引であったとしても、買主・借主が物件や事案について納得し、判断したうえで取引が行われることが重要です。
そのため、宅地建物取引業者においては、トラブルを未然に防ぐ観点から、取引にあたり、買主・借主の意向を事前に十分把握する必要があります。
なかでも、人の死に関する事案の存在を重要視することを認識したのであれば、とくに慎重に、かつ丁寧に対応することが望ましいといえるでしょう。
事故物件の売却に悩んだら専門の買取業者への相談がおすすめ
ここまで事故物件の告知義務やその期間、違反した場合のペナルティなどについて解説してきました。
不動産契約後の無用なトラブルを防ぐために、基準となるガイドラインが策定されたとはいえ、事故物件を取り扱うことはデリケートな事案であることに変わりありません。
もし、物件を所有しているものの、事故が起こってしまったことで借り手もつかず、売却しようにも買い手がつかずどうすればいいのかわからない、と悩むようなことがあれば専門の買取業者へ相談することをおすすめします。
専門の買い取り業者であれば、事故物件の売却方法のノウハウ・経験があるため適正価格での買い取りが可能となるからです。
具体的に、以下の3つの理由から、専門の買取業者を活用することをおすすめします。順に解説しますので、参考にしてみてください。
1点目は、専門の買取業者には事故物件を取り扱ってきた豊富な実績と経験があり、それらをもとに正しい相場調査が行われることです。
不動産がもつ価値を正しく精査し、適正な価格で対応してくれるでしょう。
2点目は、事故物件処理の知識・技術不足による過剰施工を防止し、販売することを目的とした正しい特殊清掃、解体、市場ニーズにあわせたリノベーションも提供してくれることです。
特殊清掃にはしっかりとした知識とスキルが必要とされます。その点においても、専門業者であれば、確実に処理してくれるといえます。
3点目は、供養するだけでなく、適切な清掃とリノベーションによって不動産を甦らせてくれることです。
蘇った不動産は、ニーズにマッチした引き取り手の元へしっかり届けられるでしょう。
以上のことから、専門買取業者を利用すれば、事故物件を抱えることによる心理的負担や業務上のストレスも軽減できるのではないでしょうか。
まとめ
事故物件に関して告知が必要となるケースは、4つに分類され、告知する期間は売買契約か賃貸契約なのかで異なることがわかりました。
また、告知の際には書面も用意するなど、双方にとって不利益が発生しないように丁寧かつ慎重に行うことが重要です。
一方で、ケースによっては告知義務が発生しないこともあるため、改めて違いについて理解しておくといいでしょう。契約時のトラブルを未然に防ぐためにも、2021年に定められたガイドラインの基準に沿った取引をすることが大切になります。
万が一、告知義務に違反してしまった場合、補償や損害賠償が発生する恐れがあり、最悪の場合は契約の解除となります。
事故物件は、とてもデリケートな事案となることも多いため、売却に悩んだ際には専門の買取業者へ相談するようにしましょう。
成仏不動産では、買い取り後の売主様責任なしの買い取りが可能です。「瑕疵の伝え方に困ってしまう」「本当に売れるのか不安」といった場合には、事故物件の取り扱い経験が豊富な当社にご相談ください。
特殊清掃や遺品整理の手元資金がない方に向けた「手出し0円プラン」のご提供や、相続手続きの無料相談サポート事故物件を所有するストレスからも解放されるでしょう。